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『脊椎圧迫骨折に対する日常生活動作(ADL)指導のご紹介!!』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

今回は、『脊椎圧迫骨折に対する日常生活動作(ADL)指導のご紹介!!』

について解説させていただきます。



一昔前は脊椎圧迫骨折のリハビリテーションの方法が書いてある書籍や雑誌はほぼありませんでしたが、最近になり、脊椎圧迫骨折のリハビリ関連の書籍や論文、講習会など情報量が少しずつ増えております。

脊椎圧迫骨折に対する治療方針としては9割が保存療法になりますので、本記事では保存療法(特に急性期)においてのリハビリテーション、とりわけADL指導について解説していきます。

ADL(日常生活動作)の練習をしていくのは当然ですが、具体的な方法がわからないリハビリスタッフの方も多いように感じます。

脊椎圧迫骨折に関わらず、骨折の保存療法でのリハビリの大原則は、

『骨の状態を悪化させないこと』これ以上に重要なことはありません!!

脊椎圧迫骨折に関しては椎体を圧潰させないことが重要となります。

では椎体を圧潰させないようにADL指導するにはどうすれば良いのでしょうか?

脊椎圧迫骨折の病態や特徴、リハビリテーションの方針などは下記の記事で記載していますのでご参照ください。

↓↓↓

脊椎圧迫骨折のリハビリは何をすればいいの?

 



◆脊椎圧迫骨折後の椎体を圧潰させないための日常生活動作(ADL)指導

椎体は前壁の骨梁構造が弱く、圧潰しやすい状態になっており、特に前屈動作というのは椎体の圧潰を進行させやすい動作であると、上記の記事で解説させていただいております。

椎体への負荷を極力抑えた状態でのADL指導の具体例を下記でご紹介します。

※これらの方法が絶対に正解ということではありませんのでご了承ください。あくまで一例のご紹介です。

 



●ADL指導1 寝返り

上記図の左側は上半身と下半身が捻じれており、脊柱への回旋ストレスが強くなり、椎体への負荷が強くなります。

一方、右側は膝立てから、上半身と下半身を捻じれさせることなく、丸太様に寝返りしており、脊柱への回旋ストレスが弱く、椎体への負荷は弱い状態です。

右側のような寝返りの指導が必要であると思われます。

 



●ADL指導2 起居動作1

起居動作はギャッジアップ機能があるベッドでは、ギャッジベッドし体幹前屈による椎体前壁への負荷を極力減らすことが重要と思われます。

また胸腰椎30°で脊柱前後彎の正中であるという報告もあります。しかしギャッジアップ30°では起き上がりが難しいこともありますので、少し妥協して45°程度までにとどめておくのが良いかと思われます。

 



●ADL指導3 起居動作2

ベッドをギャッジアップせずに起き上がる場合は、寝返りして側臥位を経由して起き上がることで、椎体の前壁への負荷は少ない状態で起き上がれます。

この方法により椎体への負荷を極力抑えた状態で起き上がりが可能になるかと思われます。

 



●ADL指導4 悪いギャッジベッド例

これはよくあるケースですが、対象者の頭部とベッドの上方に隙間が大きくある状態でギャッジベッドすると、胸腰椎部に前屈負荷がかかり椎体の圧潰を強めるストレスが加わってしまいます。

よって、ギャッジベッドする際には、必ず対象者がベッドの上方まで移動してからギャッジベッドするよう指導する必要があります。

そうすることで、ギャッジベッド後のベッドの折れ目には殿部があたり、胸腰椎への前屈負荷をある程度軽減させることができます。

 



●ADL指導5 端坐位から背臥位

起き上がる際のADL指導はきっちりと行っていても、端坐位から背臥位になる際の指導を怠っている方が多いように思います。

背臥位になる際には、ギャッジベッドしている状態にし、体を預けるようにしてから、ギャッジアップしているベッドの角度を下げていくと胸腰椎の前屈負荷を軽減させることが可能となります。

 



●ADL指導6 物拾い

物を拾う際には体幹を前屈させるのではなく、股関節・膝関節を屈曲させ物を拾うと、体幹は正中位のまま動作遂行が可能となります。

この動作が体力的にしんどければ、片上肢は何か支持した状態でもかまいませんし、リーチャーを使うのもアリかと思います。

 



●ADL指導7 歩行器歩行

病院に入院中のケースでは歩行器歩行を使うことも多いかと思われます。

歩行器の高さが低くなると、胸腰椎が前屈してしまい、椎体への圧潰ストレスが加わりますので、体幹が正中、肘関節が屈曲90°の状態で、歩行器を前腕でしっかり支持できる高さに調整することが大切です。

 



◆脊椎圧迫骨折後の椎体を圧潰させないための運動療法

『運動療法』としては

椎体の圧潰が進行しないために、脊椎が後彎位とならないよう立位にて、

・脊柱起立筋収縮練習

・腸腰筋収縮練習

・肩甲骨内転エクササイズ

等の運動療法があります。

また腰背部痛予防として、胸郭と股関節の柔軟性を保つようなリハビリを導入すると良いと思います。

運動療法については簡単に記載しましたが、詳細は下記の記事に掲載しております。

↓↓↓

『脊椎圧迫骨折に対するリハビリ(運動療法)のご紹介!!』https://undoukirehazemi.com/%e3%80%8e%e8%84%8a%e6%a4%8e%e5%9c%a7%e8%bf%ab%e9%aa%a8%e6%8a%98%e3%81%ab%e5%af%be%e3%81%99%e3%82%8b%e3%83%aa%e3%83%8f%e3%83%93%e3%83%aa%ef%bc%88%e9%81%8b%e5%8b%95%e7%99%82%e6%b3%95%ef%bc%89%e3%81%ae/

 

今回は、『脊椎圧迫骨折に対する日常生活動作(ADL)指導のご紹介!!』について解説させていただきました。