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『椎間板性腰痛に有用な理学所見は?』

リハビリスタッフ向け
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こんにちは!

運動器専門のリハビリスタッフです!!

いつもお世話になります。

について解説させていただきます。             

   



椎間板性腰痛は椎間板が痛みの原因となって生じる腰痛とされています。

椎間板性腰痛のことを腰椎椎間板症と呼ぶこともあります。

椎間板の線維輪や終板に負荷がかかることで、椎間板を支配する脊椎洞神経が感知して、腰痛が発生します。

腰椎椎間板ヘルニアになる前段階として椎間板性腰痛が発生することも多いです。

腰椎椎間板ヘルニアでは下肢痛が出現することも多いですが、椎間板性腰痛の多くは下肢痛はなく腰痛の症状でとどまることが多いです。

椎間板性腰痛はいわゆる「ぎっくり腰」(急性腰痛症)の要因の一つとされています。

いわゆる「ぎっくり腰」(急性腰痛症)の報告においては下記の3つの報告が多いようです。

・椎間関節性腰痛

・椎間板性腰痛

・仙腸関節性腰痛



◆椎間板性腰痛の特徴

椎間板性腰痛の特徴としては以下があげられます。

・前屈で腰痛増悪

・棘突起上の痛み

・傍脊柱筋に圧痛がないことが多い

・端坐位保持、立位保持で腰痛増悪

・起床時に腰痛があり、徐々に痛みが軽減する

・椎間板造影による再現痛

・MRIにHIZ(高輝度変化)所見



下記の論文では椎間板性腰痛の理学所見の感度と特異度が示されていますので、見ていきたいと思います。

Diagnosis and Characters of Non-Specific Low Back Pain in Japan: The Yamaguchi Low

Back Pain Study

Hidenori Suzuki*, Tsukasa Kanchiku, Yasuaki Imajo, Yuichiro Yoshida, Norihiro Nishida,

Toshihiko Taguchi

PLoS One. 2016 Aug 22;11(8)

この研究は山口県で行われた他施設共同研究であり、2015年4月から5月にかけて、主に腰痛のために診療所を訪れ、治療を受けた320名の患者を対象に調査をしております。

結果としては、画像で判断できない腰痛(非特異的腰痛)は79%であるが、理学所見を補助的に追加し、診断可能な腰痛は78%であったと報告されています。

画像で分からない腰痛(非特異的腰痛)の原因としては、

・筋筋膜性腰痛

・椎間関節性腰痛

・椎間板性腰痛

・仙腸関節性腰痛

などが挙げられています。



◆椎間板性腰痛の理学所見

上記論文中では、椎間板性腰痛の理学所見の感度と特異度が英語で示されており、和訳したものを下の図で提示しました。

感度:病気がある群での検査の陽性率

特異度:病気がない群での検査の陰性率

感度と特異度が両方とも高い検査が椎間板性腰痛と診断できる可能性が高いということになります。

しかし、この論文からわかることは、感度と特異度がともに高い理学所見はありませんでした。

以下の項目は感度もしくは特異度のいずれかは高い値となっていました。

・Kempテストが     感度0.300、特異度0.746

・One pointの痛みが    感度0.325、特異度0.850

・上殿神経の圧痛が    感度0.300、特異度0.796

・SLR testが       感度0.375、特異度0.832

・局所不安定性(X-P)が 感度0.425、特異度0.957

・椎間板狭小化(X-P)が 感度0.725、特異度0.407

これらの項目については椎間板性腰痛と診断(判断)する補助的手段にはなりそうです。

よって、理学所見で判断していく場合には、これらの理学所見に加えて、その他の腰痛を否定していくことで、椎間板性腰痛と判断できる可能性は高くなると思います。

確定診断には椎間板造影検査や椎間板ブロックでの判断になります。



◆椎間板性腰痛のリハビリコンセプト

私の考える椎間板性腰痛のリハビリコンセプト

★椎間板内圧の減圧

・腰椎前彎徒手操作

・脊柱起立筋トレーニング

・椎間離開徒手牽引操作

★近隣関節の拘縮除去

・ハムストリングスのリラクセーション&ストレッチ

・胸郭モビライゼーション

などが良いかと考えています。

今回は、『椎間板性腰痛に有用な理学所見は?』について解説させていただきました。

 『椎間板性腰痛の特徴と理学所見は?』

 『椎間板性腰痛のスクリーニング検査(診断サポートツール)』

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