こんにちは!
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は、『人工膝関節全置換術(TKA)後のリハビリはCPMと自動運動どちらが有効か?』
について解説させていただきます。
人工膝関節全置換術(TKA:Total Knee Arthroplasty)は変形性膝関節症や関節リウマチ、膝の骨壊死などの膝関節症によって、痛みや膝関節可動域制限を改善するための手術になります。
人工膝関節に交換することで、痛みが軽減し、歩行や階段昇降などの動作がやりやすくなります。
なかでも高齢女性に多い変形性膝関節症からTKAに移行する割合が最も高いとされています。
人工膝関節全置換術(TKA:Total Knee Arthroplasty)の術後にリハビリ以外の時間に、病室などでCPM(持続的他動運動)といわれる機器によって、持続的に20~30分程度、膝の曲げ伸ばしが行われるものを使用している病院が多くあります。
そんな中、2018年に、人工膝関節全置換術(TKA:Total Knee Arthroplasty)後においてCPM(持続的他動運動)と自動運動のどちらが効果があるのかを検証した論文が海外で報告されております。
この論文の検証結果が気になるところですね。
◆論文紹介
Randomized Controlled Trial
Technol Health Care (IF: 1.28; Q4)
. 2018;26(3):499-506.
doi: 10.3233/THC-170850.
Randomized, prospective, monocentric study to compare the outcome of continuous passive motion and controlled active motion after total knee arthroplasty
人工膝関節全置換術後のCPM(持続的他動運動)と制御された自動運動の転帰を比較する無作為化前向き単盲検試験
Martin Schulz 1, Bernhard Krohne 2, Wolfgang Röder 3, Kirsten Sander 4
Affiliations expand
- PMID: 29630570 DOI: 10.3233/THC-170850
Abstract
Background: The number of patients requiring a total knee arthroplasty (TKA) is increasing and postoperative care is an important factor for the recovery of knee function. It is discussed controversially, if the benefits of controlled active motion (CAM) therapies are comparable to continuous passive motion (CPM) therapies.
要旨
背景 人工膝関節全置換術(TKA)を必要とする患者数は増加しており、術後ケアは膝機能の回復のために重要な要素である。しかし,controlled active motion(CAM)療法とcontinuous passive motion(CPM)療法の有用性が同等であるかどうかは議論のあるところである.
Objective: Comparison of postoperative outcomes using a device in CAM and CPM settings, in addition to standard physiotherapeutical exercises immediately after TKA.
目的 TKA施行直後の標準的な理学療法に加え、CAM(controlled active motion)およびCPM(continuous passive motion)の設定による装置を用いた術後成績の比較。
Methods: TKA patients were randomized to either CAM or CPM therapy performed with an identical device (ARTROMOT® ACTIVE-K, Ormed GmbH). All patients received an additional physiotherapeutic program. Pain, knee associated problems (KOOS), active range of motion (ROM), and adverse events were documented before surgery, during the stationary stay and after an outpatient period.
方法 TKA患者を、同一の装置(ARTROMOT® ACTIVE-K、Ormed GmbH)を用いて行うCAM(controlled active motion)療法またはCPM(continuous passive motion)療法に無作為に割り付けた。全例に理学療法プログラムを追加した。手術前、入院中、外来後に、疼痛、膝関節関連問題(KOOS)、可動域(ROM)、有害事象を記録した。
Results: We included 50 patients (70 ± 8 years). During the postoperative period, KOOS scales improved significantly in both groups, but the CAM group showed a significantly better improvement of pain and quality of life scale. Furthermore, postoperative course of pain intensity and knee flexion was significantly better in the CAM group.
結果 50名の患者(70±8歳)を対象とした。術後は両群ともKOOS尺度が有意に改善したが,CAM群では痛みとQOL尺度が有意に改善した.さらに,術後の疼痛強度や膝関節屈曲の経過は,CAM群で有意に良好であった.
Conclusions: CAM and CPM lead to significant improvements after TKA, but CAM shows better results in terms of flexion, pain and quality of life.
結論 CAM(controlled active motion)とCPM(continuous passive motion)はTKA後に有意な改善をもたらすが、CAMは屈曲、痛み、QOLの面でより良い結果を示した。
◆まとめ
上記論文ではTKA(人工膝関節全置換術)後50例(70±8歳)をCPM群と自動運動群のの2群に分けて、どちらが効果的かを検証しております。
TKA患者のリハビリは標準的な理学療法に加えてCPMを追加する群と、CPM装置を用いて自動運動をする群の2群に分けており、手術前、入院中、外来後に疼痛、膝関節機能(KOOS)、関節可動域、有害事象について評価しております。
結果として、術後は両群ともに膝関節機能(KOOS)が有意に改善しているようです。
自動運動群では痛みとQOLが有意に改善し、疼痛強度や膝関節屈曲の経過は有意に良好であったとのことです。
上記論文の結果を踏まえると、CPMと自動運動はどちらも有意な改善をもたらしますが、自動運動群ではさらに膝関節屈曲、痛み、QOLについて良好な成績になる可能性が高いようですね。
自動運動でも関節可動域練習になりますし、さらに筋機能の向上効果も得られますのでより良い結果が生まれるのではないでしょうか。
今回は、『人工膝関節全置換術(TKA)後のリハビリはCPMと自動運動どちらが有効か?』
について解説させていただきました。