こんにちは!
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は、『デュシャンヌ跛行は中殿筋筋力低下以外にも原因あり』について解説させていただきます。
まずはトレンデレンブルグ徴候とデュシャンヌ現象の図を下記に掲載します。
トレンデレンブルグ徴候は1895年に報告され
デュシャンヌ現象は1869年に報告されおり
かなり歴史は古いです。
トレンデレンブルグ徴候とデュシャンヌ現象は主に股関節疾患で生じることが多いです。
変形性股関節症、大腿骨近位部骨折(頸部骨折、転子部骨折、転子下骨折)、THA(人工股関節全置換術)など
トレンデレンブルグ徴候とデュシャンヌ現象のどちらの歩行中も、股関節外転筋の筋力低下から跛行が起こるとされているのは定説です。
しかし、下記の論文では股関節外転筋の筋力低下以外の要因がデュシャンヌ現象と関連があったと報告しております。
『股関節内転制限および外転筋力がデュシャンヌ跛行に及ぼす影響』
熊谷 匡晃ら PTジャーナル.2015.49巻1号
この論文では正常歩行群15例とデュシャンヌ跛行群19例で比較しております。
疾患は大腿骨近位部骨折および変形性股関節症患者で2群間に有意差はありません。
術式は人工骨頭置換術、骨接合術、THAで2群間に有意差はありません。
検討項目は
1、正常歩行群とデュシャンヌ跛行群における股関節外転筋力と内転角度
2、股関節内転角度の違いによる跛行出現率
3、股関節内転角度と外転筋力の関係
結果
1、正常歩行群とデュシャンヌ跛行群で股関節外転筋力は有意差はなく内転角度は有意差があった
2、股関節内転制限があるとデュシャンヌ跛行が出やすく、内転5°以下で100%
3、股関節内転角度と外転筋力の関係には有意差はなかった
股関節内転制限により、骨盤が外側へ側方移動できないため、体幹の側屈の反応がでるという流れのようです。
ちなみに正常歩行での股関節内転角度は4°といわれております。
この論文の結果から考えるとデュシャンヌ跛行は
股関節外転筋力だけでなく、股関節の内転制限にも着目して、評価やアプローチをしていく必要性がありそうですね。
昔から言われている定説だけではなく、幅広い視点で思考していく必要がありますね。
今回は、『デュシャンヌ跛行は中殿筋筋力低下以外にも原因あり』について解説させていただきました。
『大腿骨転子部骨折術後例で小転子が転位していると運動機能はどうなる?』