こんにちは!
運動器専門のリハビリスタッフです!!
いつもお世話になります。
今回は、『アスリート(スポーツ選手)に半月板縫合術は有効か?臨床成績公開!』
について解説させていただきます。
半月板は大腿骨と脛骨の間にあり、膝関節のクッションの役割をする組織とされています。
半月板損傷は若年者のスポーツ外傷や、高齢者の退行変性(老化)による損傷まで幅広い疾患となります。
高齢者に注目すれば、変形性膝関節症例では半月板が脱転(亜脱臼)していたり、損傷していることもあります。
高齢者においては保存療法が選択されることが多いですが、若年者やスポーツ選手においては、半月板縫合術や半月板切除術など手術療法も選択肢になることがあります。
そんな中、2017年に、アスリート(スポーツ選手)の半月板断裂に対して半月板縫合術は有効かを検証した論文が海外で報告されております。
この論文の検証結果が気になるところですね。
◆論文紹介
Asia Pac J Sports Med Arthrosc Rehabil Technol (IF: 1.03; Q2)
. 2017 Jun 7;10:4-7.
doi: 10.1016/j.asmart.2017.05.299. eCollection 2017 Oct.
Clinical outcome of meniscus repair for isolated meniscus tear in athletes
アスリートにおける孤立性半月板断裂に対する半月板修復術の臨床成績
Hiroshi Nakayama 1, Ryo Kanto 1, Shunichiro Kambara 1, Kenji Kurosaka 1, Shintaro Onishi 1, Shinichi Yoshiya 1, Motoi Yamaguchi 2
Affiliations expand
- PMID: 29392109 PMCID: PMC5780295 DOI: 10.1016/j.asmart.2017.05.299
Free PMC article
Abstract
Objective: To examine the clinical and functional outcomes for a series of patients who underwent meniscal repair for isolated meniscal tears focusing the study population on athletes.
概要
目的 研究対象をスポーツ選手に絞って、単独の半月板断裂に対して半月板修復術を受けた一連の患者の臨床的および機能的転帰を検討すること。
Methods: This study represents a case series of 46 athletes who underwent repair of isolated meniscal lesions of the knee from 2010 to 2015. Cases of discoid meniscal lesions and combined ligament injuries were excluded. The mean age of the patients was 22.9 years ranging from 12 to 50 years. Arthroscopic inside-out repair was primarily a procedure of option. For repair of tears with degeneration and inferior vascularity, autogenous fibrin clot was implanted to the repair site for healing enhancement. The mean follow-up period of all patients was 19.8 ± 6.8 months (range; 12 months-33 months).
方法 本研究は、2010年から2015年に単独の膝関節半月板病変の修復術を受けた46名のアスリートのケースシリーズである。円板状半月板病変と靭帯複合損傷の症例は除外した。患者の平均年齢は22.9歳で、12歳から50歳までであった。関節鏡視下インサイドアウト修復術は主に選択された術式であった。変性や血管の弱い断裂の修復には、治癒を促進するために自家製フィブリン塊を修復部位に移植した。全症例の平均追跡期間は19.8±6.8ヶ月(範囲;12ヶ月~33ヶ月)であった。
Results: In total, 37 of 46 patients (80%) could go back to their original sports activities. During the follow-up period, re-tear was encountered in 4 of 46 knees (8.7%). No significant differences in clinical/functional outcomes and re-tear rate were detected between the medial and lateral meniscal repairs.
結果 全46例中37例(80%)が元のスポーツ活動に戻ることができた。追跡期間中に再断裂が生じたのは46例中4例(8.7%)であった。内側半月板修復術と外側半月板修復術の間に、臨床的・機能的な結果および再断裂率に有意差は認められなかった。
◆論文の結論
Conclusion: In our expanded repair indication for isolated meniscus repair for athletes, the rate of satisfactory return to sports was 91.3% in total (88.9% for the medial meniscus group; 92.9% for the lateral meniscus group). During the follow-up period ranging from 12 to 33 months (mean, 19.8 months), re-tear of the repaired site was encountered in 4 of the 46 knees (8.7%).
結論 スポーツ選手に対する孤立性半月板修復術の適応拡大において、スポーツへの満足な復帰率は合計で91.3%であった(内側半月板群88.9%、外側半月板群92.9%)。12~33ヶ月(平均19.8ヶ月)の追跡調査期間中に、46膝中4膝(8.7%)に修復部位の再断裂が認められた。
◆まとめ
上記論文ではアスリート(スポーツ選手)における単独の半月板断裂後の半月板縫合術を受けた46名(平均年齢は22.9歳で、12歳から50歳まで)の臨床成績について検討しております。
結果として、全症例の平均追跡期間は19.8±6.8ヶ月(範囲;12ヶ月~33ヶ月)であったとのことです。
全46例中37例(80%:内側半月板群88.9%、外側半月板群92.9%)が元のスポーツ活動に戻ることができたそうです。
追跡期間中に再断裂が生じたのは46例中4例(8.7%)であったとのことです。
内側半月板修復術と外側半月板修復術の間には、臨床的・機能的に差はなく、再断裂率も有意差はなかったようです。
上記論文の結果を踏まえると、アスリート(スポーツ選手)における単独の半月板断裂後の半月板縫合術ではスポーツ復帰率は91.3%、再断裂率は8.7%であり、比較的良好な臨床成績である印象です。
今回は、『アスリート(スポーツ選手)に半月板縫合術は有効か?臨床成績公開!』
について解説させていただきました。