こんにちは！

運動器専門のリハビリスタッフです！！

いつもお世話になります。

今回は、『外反母趾の手術成績に影響を与える因子は？』

について解説させていただきます。

　

外反母趾は、母趾中足指節（MTP）関節で母趾が外反した変形です。

外反母趾の要因としては遺伝や性差、加齢による影響が挙げられており、特に女性に圧倒的に多いとされています。

また、ハイヒールやつま先の細い靴を多用することで、第１中足指節関節（母趾MTP関節）に外反力が作用して変形すると一般的には認識されております。

外反母趾の定義としては、（清水新吾ら：日足の外科会誌.2010）フットプリント上での外反母趾角度が16°以上や、外反母趾診療ガイドライン2022では外反母趾角度が20°以上を外反母趾としています。

　

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●外反母趾が発症しやすい要因

解剖学的要因：第一中足骨内反、足根中足関節の不安定性、足趾の長さ、全身性関節弛緩

外的要因：体重、靴の形態

などが一般的に挙げられていますが、明確にはなっていないものもあります。

　

◆外反母趾の特徴：（外反母趾診療ガイドライン 2014）

・第一中足骨の内反

・母趾MTP関節部の突出

・母趾基節骨の外転、回内変形

・開張足

そんな中、2021年に、外反母趾矯正手術後の健康関連QOLの改善について調査した論文が海外で報告されております。

この論文の検証結果が気になるところであります。

　

◆論文紹介

Foot Ankle Surg (IF: 2.71; Q2)

. 2021 Jul;27(5):539-542.

 doi: 10.1016/j.fas.2020.07.001. Epub 2020 Jul 8.

Health-related quality-of-life improvement after hallux valgus corrective surgery

外反母趾矯正手術後の健康関連QOLの改善について

Meng Zhu ¹, Jerry Yongqiang Chen ², Nicholas Eng Meng Yeo ², Kevin Koo ², Inderjeet Singh Rikhraj ²

Affiliations expand

• PMID: 32694077　DOI: 10.1016/j.fas.2020.07.001

Abstract

Background: Hallux valgus is a common forefoot deformity that affects function of foot and quality of life (QoL). This study aims to identify factors associated with clinically important improvements in QoL after hallux valgus corrective surgery.

要旨

背景 外反母趾は、足の機能や生活の質（QoL）に影響を与える一般的な前足部変形である。本研究では、外反母趾矯正手術後のQoLの臨床的に重要な改善と関連する因子を明らかにすることを目的とする。

Methods: A retrospective analysis on 591 cases of hallux valgus corrective surgery performed between 2007 and 2013 was conducted. Patients’ preoperative and 2-year postoperative Physical Component Score (PCS) and Mental Component Score (MCS) were compared to identify the presence of clinically significant improvements in patient-reported QoL. A multiple logistic regression model was developed through a stepwise variable-selection model building approach. Age, BMI, preoperative patient reported outcome score, PCS, MCS, pain score, gender, side of surgery, type of surgery, and presence of lesser toe deformities or metatarsalgia were considered.

方法 2007年から2013年の間に行われた外反母趾矯正手術591例についてレトロスペクティブな解析を行った。患者報告QoLの臨床的に有意な改善の有無を確認するために，患者の術前と術後2年間の身体的成分スコア（PCS）および精神的成分スコア（MCS）を比較した。ステップワイズ変数選択モデル構築法により、多重ロジスティック回帰モデルを構築した。年齢、BMI、術前の患者報告アウトカムスコア、身体的成分スコア(PCS)、精神的成分スコアMCS、疼痛スコア、性別、手術側、手術の種類、小趾変形や外反母趾の有無が検討された。

Results: Median PCS significantly improved from 49 to 53 (p < 0.001), and median MCS remained at 56 (p = 0.724). Age, preoperative MCS and PCS were independent predictors for significant improvements of PCS at 2-year postoperatively.

結果 身体的成分スコア（PCS）中央値は49から53に有意に改善し（p＜0.001），精神的成分スコア（MCS）中央値は56のままであった（p＝0.724）．年齢，術前の精神的成分スコア（MCS），身体的成分スコア（PCS）は術後2年目の身体的成分スコア（PCS）の有意な改善の独立した予測因子であった．

　

◆論文の結論

Conclusion: Three groups of patients were more likely to have significant QoL improvements after hallux valgus corrective surgery. These were the younger patients, those with better preoperative mental health or those with poorer preoperative physical health.

結論 外反母趾矯正手術後にQoLが有意に改善する患者は、3つのグループに分かれた。これらは、若年者、術前の精神的健康状態が良好な者、術前の身体的健康状態が不良な者であった。

　

◆まとめ

上記論文では、外反母趾矯正手術を施行した591例において生活の質（QOL）の改善と関連する因子を調査しております。

対象者の術前、術後2年間の身体的成分スコア（PCS）および精神的成分スコア（MCS）を比較しております。

また、術前および術後2年間の身体的成分スコア（PCS）および精神的成分スコア（MCS））と関連する因子を重回帰分析により調査しております。

関連項目は年齢、BMI、術前の患者立脚型スコア、身体的成分スコア(PCS)、精神的成分スコア（MCS）、疼痛スコア、性別、手術側、手術の種類、小趾変形や外反母趾の有無です。

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結果として外反母趾矯正手術により身体的成分スコア（PCS）は有意に改善しましたが、精神的成分スコアは有意な改善はありませんでした。

術後2年目の身体的成分スコア（PCS）の有意な改善と関連した因子は年齢，術前の精神的成分スコア（MCS），身体的成分スコア（PCS）であったそうです。

上記論文の結果を踏まえると、外反母趾矯正手術後の生活の質（QOL）が有意に改善する患者は、若年者、術前の精神的健康状態が良好な者、術前の身体的健康状態が不良な者ということでした。

精神状態と痛みが関連することについては以前より様々な論文で報告されていますし、身体的機能が術前から良い状態であれば、当然術後の改善度合いが低くなることは理解できますね。

今回は、『外反母趾の手術成績に影響を与える因子は？』について解説させていただきました。